SBIグループホールディングスの北尾吉孝社長は25日、東京で開催されたカンファレンス「FINSUM2018」で講演し、仮想通貨取引所Zaifでの不正流出事件について触れ、早急に仮想通貨事業者による自主規制を整える必要があると指摘した。
北尾氏は「今回もまた事件が起こり、仮想通貨に眉をひそめる投資家も増えてきている」と懸念を示し、「1日も早く業界として1つにまとまり、厳格なルール・自主規制を当局にオーソライズしてもらう必要がある」と語った。自主規制を巡っては、日本仮想通貨交換業者は8月に金融庁に自主規制団体としての申請をしており、当局の認定を待っている状況だ。
さらに「業界はまだまだ不安定。特に安全性で問題があるところが多い」と指摘。SBIの投資先企業と連携し、セキュリティ技術開発に力を入れる方針を示した。その一環で8月21日に韓国のエバースピン社との間でジョイントベンチャーを設立したことも明らかにした。
仮想通貨市場については、「非常にボラティリティーが高いマーケットである」と指摘し、「投機目的の個人だけではなく、資金を運用する機関投資家が参戦する仕組みが重要だ」と強調した。仮想通貨のデリバティブのマーケットを作るなどの取り組みが必要だと語った。
イーサリアムは12月に追加予定
またSBIグループの仮想通貨交換業者「SBIバーチャル・カレンシーズ」の今後のビジネス展開についても触れ、今年12月に仮想通貨入出金の受付と、イーサリアムの取り扱いを開始することを明らかにした。来年3月には「取引所形式の取引開始」「レバレッジ取引の開始」も予定している。
今後の仮想通貨・デジタル資産関連のジョインベンチャー(JV)や協業の動きについても明らかにした。
アジア地域を対象とした、デジタルトークンを用いた貸出債権流動化プラットフォームの提供を目指し、米Othera社との間でJV設立を協議中だ。ブロックチェーン技術を用いた金融サービス事業については、OBook社とのJV設立を予定。またデジタル資産プラットフォームを手掛ける英eToroと仮想通貨などのコピートレードのプラットフォーム構築で協力していく。
リップルとR3に和解促す
リップルとR3はXRPトークン購入の事前合意を巡って裁判で争っていたが、9月10日和解したと発表した。
この件について、北尾氏は両社のトップに和解を促していたことも明らかにした。SBIはリップルに10%出資、R3も数値を明らかにしていないが「外部の筆頭株主」(北尾氏)で、両社に役員も派遣している。北尾氏は「両社のトップに訴訟問題解決を強く迫った」という。「それが効果があったかどうかはわからないが、両者が和解できたことは大いに結構なことだ」と述べている。
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