「ネットがあって政治家に意見を言えるのに、すごくイケてないと思う。アナログな選挙活動も大事だと思うが、投票だけではなく、政治家に意見を言えることも大事なのではないか。投票率だけで測れないことはあるのではないか」。 そう話すのは、スマホアプリを通して政治コミュニティの形成を目指す「PoliPoli」代表で慶應義塾大学2年・伊藤和真さんだ。 もともとアプリを作っては売却したり、投資業務をしていたという伊藤さん。「ブロックチェーンが大好きだったが、その中で日本は政治のイケてるサービスがないと思って、じゃあ何か作ってみようと簡単に始めたのがこれという感じ」。 伊藤さんたちは、初めて選挙権を得た昨年の衆院選の際、候補者の情報が不足していて、誰に投票していいかわからないという経験をしたことから、若者の政治参加を促すためのアプリ開発を志し、11月に行われた千葉県市川市の市長選で実際に運用した。 そして「政治をエンターテインする」をビジョンに、政治家の情報発信、有権者の政策提言や意見交換の場を作るアプリのβ版を公開、12月の本リリースを目指している。 「炎上とか尖った意見を言う人は一部。その人たちをなくさせたりするとか、穏健化させるのはすごく大事。議論のプラットフォームとして」と指摘する伊藤さんが掲げた課題は、「政治家の情報発信を助ける」「荒れることのない質の高い政治コミュニティの創造」「政治家の情報を有権者に的確に伝える」という3点だ。アプリでは各候補の経歴や政策を知ることができ、それぞれを比較しやすくした。さらに候補者に直接質問ができ、候補者もコメントを返すことができるなど双方向性が特徴だ。「PoliPoliは政治家と市民の議論プラットフォーム。政治家には質問がたくさんくる。誹謗中傷も。そこに評価経済モデルを入れ、共感を集める質問や意見に“いいね”をつけて評価、政治家や市民が何か良いことを言ったら独自通貨がもらえる。誹謗中傷したら、その独自通貨が減ったりする」。 発言が誹謗中傷かどうか見極める方法については、「ユーザー間の評価で信頼スコアというのがあって、サービス内で活発に活用すればするほど信頼スコアが上がる。その中で上位5%の人たちは政治的な発言をすごくできる人たちかつ、独自通貨をいっぱい持っている。その人たちにはコミュニティが荒れたら独自通貨の価値が下がるので、コミュニティを健全に保つインセンティブがある。誹謗中傷したら、その5%の人たちがバッドボタンみたいなのを押す。そうしたら、その誹謗中傷した人の信頼スコアが下がってトークン、独自通貨がもらえなくなったりする。独自通貨というインセンティブがあることで、健全な政治議論プラットフォームを作っていける」とした。 この独自通貨は今のところは、ゆくゆく仮想通貨のように決済にも使えるようにする予定だという。「慶應大学の教授に相談し、『steemit』というサービスを参考にした。アメリカのトークンエコノミーというサービスで、いい記事を投稿したら1記事あたり10万円くらいもらえたり、バズる記事を最初に評価していると、トークンが戻ってきたりする面白いサービス。誹謗中傷が多いと荒れてしまう。トークンをいっぱい持っている人が誹謗中傷をなくそうとする。そのため全然荒れていない。それがすごく面白い」。 ジャーナリストの佐々木俊尚氏は「はてなブックマークという有名なコメントのサービスがあるが、ものすごく荒れている。誰でもIDが作れて、簡単に書けてしまう。途中からこれではまずいというので、はてなスターという、星をつけられるようにした。それが一種のスコアで、たくさん星をもらえるようになったらきっと悪いことを書かなくなるのではと期待したが、結局インセンティブにならなかった。まだ続いているので失敗ではないが、荒れるのが収まっていない。そこをトークンという一種の仮想通貨によって、インセンティブが与えられるかどうかが、このモデルが成功するかどうかの最大の鍵ではないか」とコメントしていた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)
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