岩手競馬でまたしても薬物陽性馬が発覚した。岩手県競馬組合は6日、先月28日の盛岡競馬の出走馬から筋肉増強剤の成分が検出されたことを受け、10日から3日間、レースを開催しないと発表した。まさか、まさかの今季3度目の不祥事に、みちのくは揺れに揺れている。 禁止薬物(ボルデノン)が検出されたのは第5レースの勝ち馬ヒナクイックワン。3日に競走馬理化学研究所から報告が上がったことで発覚した。 岩手競馬での禁止薬物陽性馬の発生は7、9月に続いて3回目。9月22日の開催を中止し、組合に所属する717頭の全頭検査を実施(この際は全馬陰性)した直後に発覚したまさかの事態。岩手県競馬組合に所属する盛岡、水沢の全厩舎に設置した監視カメラ約150台をこれから稼働させて、いざ再出発という、まさにその時に起こった不祥事だった。 これには競馬組合の関係者も「本当に厳しい。2回目もそうだが、3回目があるなんて夢にも思っていなかった」と頭を抱える。 今回、薬物が検出されたのは、2回目と同じ高橋厩舎の所属馬。ボルデノンは簡単に手に入る薬品ではないため、事態は深刻だ。だが、ヒナクイックワンの格付けは岩手競馬で最も低いC2クラス。1着でも調教師の取り分は約2万円にしかならず「あまりにもハイリスク、ローリターン。全く割に合わない」(同関係者)と首をかしげる。 さらに、地元の岩手日報の取材に高橋調教師が「全く身に覚えがない!」と全否定していることから、調査は長期間を要する展開になりそう。 事態を重くみた競馬組合は、真相究明と再発防止策の構築が急務と判断。現時点で3日間の休止後、17日からの開催についてもメドが立つまでは不明としている。 とはいえ、競馬組合側にも中止を長引かせたくない�お家事情�が横たわる。巨額の累積赤字を抱える岩手競馬は、単年黒字が存続の絶対条件。長期間の休止は存廃問題に直結する。 また、18日には水沢競馬のビッグレース・ダービーグランプリが控えている。同レースは地方競馬全国協会が昨年からスタートさせたシリーズ競走「3歳秋のチャンピオンシップ」の最終戦。全国から強豪が遠征してくることが予想され「これ以上、他の施行者さんに迷惑をかけられない」という切実な問題もある。 今後は警備員の24時間配置など再発防止に取り組むとしているが、クリアすべき課題は山積している。
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