プレゼンターとしても登場した竹内涼真(左)は小倉記念を制した武豊とガッチリ握手 今年も各地で盛り上がりを見せた夏競馬。 札幌では短期免許で来日した“マジックマン”ことJ・モレイラが大活躍し、北都を沸かせた。キーンランドCではナックビーナスを駆ってJRA重賞初制覇を挙げるなど計31勝をマーク。通年免許以外の騎手の開催リーディングは史上初の快挙であった。また、今秋にはJRAの騎手免許の取得を目指しており、その第1次試験が10月2日に控えている。今後とも目が離せない存在となりそうだ。 新潟では、藤田菜七子が、これまで牧原(現姓・増沢)由貴子元騎手が持っていた通算34勝というJRA女性最多勝利数を更新。記録更新(8月25日)の翌日にも勝ち星を挙げ、最終週もVと越後の競馬ファンを魅了した。 小倉でもさまざまなドラマがあったが、一番の盛り上がりを見せたのは8月5日の小倉記念だ。当日は人気俳優の竹内涼真が来場するということもあり、若い女性を中心に観客が殺到。開門ダッシュがあったほどのフィーバーぶりで、当日の同競馬場の入場人員は4万196人(うち女性1万2944人)を記録した。これまでのレコードだった97年の3万6745人を大幅に更新。対前年比が202・5%という入場人員はもちろんだが、約3分の1が女性であったというところも注目すべき点であろう。 実際に記者もトークショーを見学したが、会場は黄色い歓声が鳴りやまず、まるでジャニーズのライブのような雰囲気であった。片手には競馬新聞ではなく、手作りのうちわなどのファングッズを持った若い女性が大多数を占め、イベントは大熱狂に包まれた。ここは本当に競馬場なのかと錯覚するぐらいの異様な光景で、私自身、記録にも記憶にも残る小倉記念であった。 「朝から多くのお客さまが来場し、華やかな雰囲気でした。若い女性やファミリー層に競馬場に来てほしいということでこのような人選になりました。もちろん人気俳優が来場したことがレコード記録の更新につながったとは思いますが、当日は天気が良く、フリーパスの日で入場料が無料だった点や、出走メンバーがそろった点など、いろいろな要素が重なった結果だと思います」と小倉競馬場お客さま事業課、サービス企画係長の田中拓志氏はレコード樹立の要因を分析する。 最近では、6月17日の函館スプリントS当日に、こちらも人気俳優の田中圭が来場。トークショーには約4000人の観客が会場を埋め尽くし、1万5432人の入場者数を記録。こちらも10年の函館競馬場新スタンドオープン以降のレコード記録を更新した。必ずしもタレント力が入場員数増加に直結するわけではないが、やはりその効果はあるといって差し支えないだろう。 「人気タレントを入り口に馬券を買ってもらえれば。レジャーの一つの選択肢として競馬場はいいところだねと思っていただければ」と田中氏が話すように、まずは実際に競馬場へ足を運んでほしいというのが、各種あるイベントの一番の目的といえる。 9月2日に終了した第2回小倉開催。トータルの入場人員は、15万8048人(前年比107・4%)と増加。「今年1月にリニューアルされたキッズプラザが好評でファミリー層が行きやすくなった」と田中氏が話す通り、小倉開催全体として家族連れが多く来場したことも一つの要因として挙げられる。 夏競馬は“地元熱”を感じられる場所でもある。小倉に何度か出張した記者もローカル開催は家族連れや若い女性が多く、競馬場のムード自体を楽しんでおられる方が大勢いる印象を受けた。 私自身、馬券を買って競馬の魅力を感じてほしいという思いはあるが、先述したように競馬そのもの以外に有名人に会うことをはじめ、各イベントを楽しめることが競馬場の魅力である。どのような形であれ、まずは競馬場の雰囲気を味わってみてはいかがだろうか。その上で競馬の魅力を感じていただければ幸いだ。(デイリースポーツ・赤尾慶太)
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