インターネット大手のヤフーが、コインテレグラフ日本版の取材に対して、ビットアルゴ取引所東京の運営開始は春頃を想定していると答えた。ヤフーは当初、今年秋の運営開始を予定していた。
ヤフーは4月、完全子会社のZコーポレーションを通じ、仮想通貨取引所を運営するビットアルゴ取引所東京の株式40%を取得すると発表。日本のハイテク大手が仮想通貨事業に本格参入すると注目を浴びていた。ヤフーは、運営開始の延期の理由につて「業界に起きた変化への対応を慎重に行うため検討に時間を要している」と説明した。
今年に入って証券やハイテク大手による業界参入が相次いでいる。
4月にはマネックスグループが仮想通貨取引所のコインチェックを買収すると発表。6月にはSBIホールディングスが子会社のSBIバーチャルカレンシーズを通じて仮想通貨交換業の営業を開始し、7月にはLINEが仮想通貨取引所「BITBOX」の取引を始めた。そして8月には楽天株式会社は31日、子会社の楽天カードを通じて仮想通貨取引所みんなのビットコインを買収すると発表した。
ヤフーは、大手企業が仮想通貨事業に相次いで参入していることについて「過去に証券やFX業界も通ってきた道」と指摘。「業界としての黎明期を経て、お客様の信頼や実績を伴った企業が業界の成長を再度牽引するフェーズ」という認識を示した。ただ、大手同士が直接対立する構図ではなく、フェーズ的に他社と共に「業界の発展に、それぞれのやり方で貢献していくこと」が望まれているとみている。
規制との関係
来年には米国最大手の仮想通貨取引所コインベースも日本で運営を開始する見込みだ。コインベースのマイク・レンプレス氏は今月、日本で仮想通貨交換業のライセンスを取得することについて「2019年中には間違えなく取得できる」と自信をみせた。とりわけ金融庁は「セキュリティに焦点を当てている」と指摘し「コインベースに有利に働く」と述べた。
今回コインテレグラフの取材に答えたヤフーも、セキュリティ面、とりわけ顧客と投資家の保護の重要性を強調。仮想通貨事業者として規制に求める「ただ一つのこと」と述べた。その上で「(ヤフー)グループの持つ各金融系会社の経験」と「ビットアルゴ社がサービス開始して積む経験」を基に、上記の視点を大切にして当局や業界と手を携えながら業界に貢献したいと話した。
ヤフー経済圏?
一方ヤフーは、仮想通貨交換業だけでなく、トークンエコノミー構想についても言及した。
トークンエコノミーではLINEが先行している。先月LINE株式会社は5つの分散型アプリを目玉に独自のブロックチェーン技術を活用した「LINE Token Economy」を発表した。利用者をサービス提供者と同じくコンテンツ作りの貢献者と位置付け、インセンティブ付与のため日本のユーザー向けには「LINK Point」、海外向けには「LINK」トークンを配布する。
LINK Pointは、1ポイントにつき固定レートで500LINEポイントで交換可能。ネット通販のLINEショッピングなどで利用可能になる。一方、海外向けのLINKに関しては、10月16日にシンガポール拠点の仮想通貨取引所「BITBOX」で取引開始になった。
ヤフーは、トークンエコノミーについて「具体的な構想はない」としつつも、研究はしていると認めた。その上で「将来的にはグループのお客様に対するサービスの価値向上に寄与すると考えている」とし、利用者に対して「より高い利便性と『おトク』をお届けできる可能性がある」と述べた。
この記事へのコメントはありません。