仮想通貨の価格操作の背景にボットと言われる自動トレーディングプログラムがあると2日付のウォール・ストリート・ジャーナルが報じた。価格操作は7月に米国証券取引委員会(SEC)が起業家のウィンクルボス兄弟のETF(上場投資信託)を拒否した理由となっている。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、ボットは株など伝統的な金融市場でも使われているが仮想通貨市場における決定的な違いは「監視体制の欠落」。ほとんどの仮想通貨取引所で規制が緩いため、「悪態をつく」ボットが存在しているのだという。
例えば、8000万ドルの資産を運用する仮想通貨ヘッジファンドVirgil Capitalのステファン・チン氏は、イーサリアム(ETH)の取引で「嫌がらせをする」ボットに出くわしたという。チン氏は、世界各地の仮想通貨取引所の価格差を利用して稼ぐ裁定取引で、当時1分に1回価格のチェックをしていた。その際、敵意のあるボットが他より安い価格でイーサリアムを売るという注文を出したため、チン氏は買い注文を発注。しかし、このボットが売り注文をキャンセルした。結局、チン氏は実行されなかった買い注文を出すことになり、その取引所でのイーサリアム価格をあげる結果になったという。
ウォール・ストリート・ジャーナルは、これはスプーフィングと言われる相場操縦で米国の株式市場と先物市場では2010年に違法になったと指摘。仮想通貨市場においてもボットの存在が仮想通貨の普及の妨げになっている懸念するトレーダーがいる一方、敵意のあるボットをみんなが持つようになれば良いと強硬論も出ているという。
7月にSECは、ウィンクルボス兄弟のETF申請について、上場先の取引所BZXが「詐欺や価格操作などを防ぐ上でSECが求める水準」に達していないことを理由に拒否した。また9月にはニューヨーク州司法長官事務所(OAG)が、価格操作に関する仮想通貨取引所の取り組みに関する報告書を公表し、仮想通貨取引所のバイナンス、Gate.io、クラーケンがニューヨーク州の規制に違反してる可能性があると警告した。
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