《公営競技生主・シグナルRightのひたすら解説・第2回》 ◆昔は印象で予想していたボートレースにもビッグデータの波が 今や競馬予想界は戦国時代に突入している。なかでもデータ派の成長は凄まじく、JRA-VANから提供されるデータを解析して回収率がプラスとなるような買い目を解析する人たちも存在するほどだ。つまりはビッグデータの活用なわけだが、競馬のみならず、ボートレースにもその波はやってきている。 「濱野谷がカドからまくりを一気に決めよう」 2010年末頃、新聞の見出しにこの文字が踊った。私は当時、これを見て「はぁ?(怒)」とニコ生予想配信中に吠えたことがある。理由は簡単だ、この頃の濱野谷憲吾選手に、決まり手「まくり」で勝ったレースは1回もなかったことがデータで一目瞭然だったからである。 《2010年後期・濱野谷憲吾選手の決まり手》 (2010年後期は2010年5月1日~2010年10月31日) 逃げ 16本 まくり 0本 まくり差し 8本 差し 2本 抜き・恵まれ等 0本 ※Boat Advisor(ボートアドバイザー)より 昔であれば、近況の濱野谷選手に「まくり」が1本もない、というようなことを「正確に」知るのは非常に難しかった。選手ごとに最近どんな決まり手で勝ったかを集計したものなど、存在しなかった。しかし、ビッグデータ全盛の今ではカンタンに知ることができる。 だが、多くのボートファンはこういったビッグデータを活用できていない。レース場であたりを見回してほしい、専門紙どころか、出走表だけで打つ人たちばかりだ。彼らはいつだったかわからない印象的な濱野谷選手のまくりを覚えてしまっているがゆえに、当時一切やっていないまくりを予想してしまう。 ◆記憶とデータが違ったらそれはチャンス だが、この「思ってたんと違う」という状況はボートにおいてはチャンスだと思っていい。皆が濱野谷選手がまくりだと思ってる状況で、実際にはまくりではなく攻め手は「まくり差し」が主体な状況だ。 (補足:まくり差し…1周目1マークでのターンで艇と艇の間を割って突き抜けてくる決まり手。誰かの舟の外を回るまくりと、誰かの舟の航跡をまたぐ差しの要素が両方含まれるため「まくり差し」と呼ばれる) まくり差しの場合、まくり差しを決めた艇よりも外を回る艇が連動して連下に来るには、さらに間を割るか、外を大きく回るか、最内を突くしかないため可能性はぐっと下がる。ヒモ候補はまくり差しを決めた艇よりも内枠の残り目に存在することになる。同じ「濱野谷選手が外から勝つ」と予想しても、決め技の観点が違うだけで予想する結果は変わるわけだが、そんな視点をデータと記憶の違いから導き出せるのだ。ボートレースはビッグデータの活用が始まってまだ数年の世界。今のうちに多くの「印象派」に差をつけてチャンスを多く使いたいところだ。 《今回使用した競艇ソフトBoatAdvisor活用例》 ・世間のモーター評をを覆す「評価P」 勝率や2連対率や印象で語られるモーター評価だが、評価Pは「モーターの勝率と使用選手の近況勝率の差」。つまり選手の普段成績より「押し上げてくれるか」「押し下げてしまっているか」で捉える指標。開催の初日から前半にかけて有効に使いたい。 ・コース別実績 選手それぞれの近況コース毎の成績が選手情報から見ることができるため、コースに応じて走り方や特徴が変わる選手の状況をしっかり掴むことができる。期間は直近半年(デフォルト設定)が丁度よい。いろいろな期間で見てみたが、選手は半年くらいで技術や走り方が変化していくというのが私の印象だ。 取材・文/佐藤永記(シグナルRight) 「捲(まく)り差し」は非常に鮮やかだが、鮮やかすぎて選手が過去いつ決めたかを覚えている人は少ない
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