中国の巨額ファンドが、日本円の準備金を担保とした価格変動の少ない仮想通貨、いわゆる円建て「ステーブルコイン」の開発に向け動き出しているようだ。香港英文紙が伝えた。
「日本円版テザー」を仕掛けるのは「グランドショア・ブロックチェーン・ファンド」で、運営する100億元(約1600億円)のうち30%が中国浙江省の杭州市による出資だという。
注目すべきなのが、同ファンドには中国の最大級の「クジラ(仮想通貨分野の大口投資家)」が関わっていることだ。
その筆頭が李笑来(リ・シャオライ)氏で、同氏は中国圏を中心にはやっているEOS(イーオス)という仮想通貨の仕掛け人とも囁かれる最重要人物の一人。一時は10万ビットコイン以上を保有し、その一挙一動に注目があつまる人物だ。
また通称老猫(ラオマオ)として知られる余文卓氏も参画している。同氏は、今年はじめにドル準備金や市場操縦に対する疑惑がつきまとうテザーをかばった人物だ。仮想通貨取引所ビットフィネックスとの関係が近いとされる。
今回「日本円版テザー」の背景にあるのが、世界的にテザーへの風当たりが強くなっていることだ。
また、今月上旬には米ウィンクルボス兄弟が仕掛ける「ジェミナイ・ドル」(Gemini dollar)(GUSD)が米ニューヨーク州金融サービス局によって認可されるなど、米ドル基軸のステーブルコインには力強い対抗馬も出てきている。
そんな中、テザーの背後に見え隠れする人物たちが、広く流通するステーブルコインがまだ存在しない日本円に目をつけるのは自然な流れかもしれない。仮想通貨関連規制の整備がゆっくりと進む日本で、競合となる力強いプロジェクトができにくいのも、日本円ステーブルコインが「穴場」の理由だろう。
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