「若手」と呼ぶには少し違和感を感じるほど、その冷静な手綱さばきとコースを読む正確さに、キラリと光るものを感じさせる北海道の山本咲希到(松本隆厩舎)。6月には初の重賞優勝を成し遂げ、充実の一途をたどる4年目のシーズンについて聞いた。 ★ ★ ★ JRA、地方の垣根を越えて、若手騎手がその腕を競う『ヤングジョッキーズシリーズ』。各場でのトライアルラウンドのポイント上位者のみが、年末のファイナルラウンドへ駒を進めることができる。 その幕開けとなった6月19日、船橋でのトライアル初戦で見事勝利を飾ったのが山本咲希到だった。初の船橋競馬場、慣れない左回りコースは「感覚が気持ち悪かった」が、「コースは広いし、くせもなく乗りやすかった」と戸惑うことなく本番に臨み、1戦目で見事勝利を決めると、続く2戦目でも5着に入り、40ポイントでトップに立った。「プラン通りのレースができた」と、最高の滑り出しを決めた。 そして、その2日後の6月21日、今度は門別での『ヒダカソウカップ』(H3)で重賞初優勝。自ら調教をつけ続けた自厩舎の馬との記念Vは、嬉しさとともに大きな自信となった。「波に乗ると順調にいくタイプ、それも波が大きいんです」と自身が語るように、好調のきっかけをひとつつかむと一気に上昇するようだ。7月は、「どうもかみ合っていない」と調子を落としていたものの、「ここ最近ぐらいから、フィーリングというか、手ごたえが上向きです」と復調の感覚をつかんできている。 そんなタイミングで臨む、8月23日に行われる『ヤングジョッキーズトライアル門別ラウンド』。気合が入らないわけがない。 昨年の門別ラウンドでは1勝したが、その後のトライアルで成績を残すことができずファイナル進出を逃した。今年はすでに1位に立っている分、気持ちにも余裕がある。「まずは門別でも1勝という気持ちですが、2勝できたらほぼ(ファイナル進出は)決まりだと思うので。もちろん狙っていきます」 昨年は同期の3人がファイナル進出を決め、その中の臼井健太郎が総合優勝を決めた。「悔しかったですね。今年は必ずファイナルに進みたい」と、雪辱を期す。 飛躍の年となった昨年は32勝を挙げた。「技術的なこと、競馬の形、すべてがかみあってきた」という今年は、8月7日現在19勝。しかし、数字以上に手ごたえを感じている。「せっかく騎手になったのだから、もっと技術を磨いて上を目指していきたい」 冷静な中にも熱い気持ちを感じさせる北海道の若武者。ビッグウエーブに乗って、年間50勝の夢を貪欲に追い求めていく。
コメント
コメント (0)
トラックバックは利用できません。
この記事へのコメントはありません。